「スルメ曲」という言葉をご存じだろうか。
かなりローカルな言葉かもしれませんが...
最近は、ユーチューブなどで
無料で好きな曲を好きなだけ聞けるのであるが、
一昔前までは、身銭をはたいてCDを購入していた。
シングルであれば、1,000円、
アルバムであれば3,000円くらいだろうか。
中高生の3,000円といえば、大金である。
なので、昔の中高生は、アルバムを買うと、
元を取ろうと、聞きたおすのである。
アルバムの中には、
ドラマやCMのタイアップ曲が数曲あるのだが、
ベスト盤でない限り、そのほかの曲は、
当たり曲から、残念な曲まで様々である。
ただ、元を取ろうと、聞いている内に、
残念な曲も、いつからか、一番のお気に入りにまで、
変わっていることがよくあった。
このような曲を俗に「スルメ曲」というのだ。
噛めば噛むほど味が出る曲というわけだ。
だだ、先ほども述べたように、
今は無料で簡単に好きな曲だけ聞くことができるのだ。
なので、
口コミで「この曲いいよ!」などの情報がない限り、
好き好んで、残念な曲を聴こうとはしないだろう。
現代の社会において、
スルメ曲はほとんど生まれないのである。
スルメ曲になりうる曲自体はたくさん存在しているのだが...
このように「スルメ曲」は現在においては、
生まれにくくなているのであるが、
昔の人たちは、身銭をはたいたのだから元をとろうという、
単に貧乏症ということで片づけられるのだろうか。
いや、これは、お金を払うことによって、
その商品の「本質」と自分の「粘り」を買っているのだろう。
無料の商品であれば、
面白くなかったり、興味がなかったりしたら、
すぐに離れてしまうが、
有料であれば、
後悔したくないとの思いから「粘り」づよくその商品に接し、
その商品の「本質」に出会うことができる。
このように、現代においては、
無料があふれていることにより、
商品の「本質」と自分の「粘り」に
出会える機会が少なくなっているように思う。
たまには、身銭をはたいて
「スルメ曲」に出会うことも大切なのではないだろうか。