説明上手になるには? もう説明下手とは言わせない説明マニュアル

   

  

説明が上手な人もいれば、下手な人もいる。

説明が下手な人の話を聞いても、

結局何が言いたいのかよくわからないことがあるだろう。

 

一方、説明が上手な人の話を聞くと、

今までわからなかった事柄が理解できたりする。

  

この違いはなんなのだろうか。

      

「頭がいい人は説明がうまい」と言われることもある。

では、大学教授はどうか。

大学教授は頭がいいに違いないが、

その講義が退屈で眠気を誘うものだったり、

内容が頭に入ってこなかったりする場合もある。

つまり、頭がいい人が必ずしも説明が上手だとは限らない。

     

残念な説明

では、説明が下手な人は何を間違えているのか。

     

その特徴は3つある。

     

1つ目は、考えた順番で説明してしまっていること。

「考えた順番」と「説明する順番」は違うということを肝に銘じよう。

「自分の考えた順番」ではなく、「相手が聞きたい順番」で話すようにする。

    

2つ目は、相手の理解度を意識していないこと。

テレビのニュースなどで、専門家が登場して解説することがある。

多くの場合、一般人にとって、その説明は難解でわかりにくい。

それは、聞き手のレベルに合わせた説明ができていないからだ。

      

「専門外」の人たちと話すときには、

相手がどの程度の前提知識を持っているのか、

またどの程度の詳細さで物事を理解したいのかを知っておく必要がある。

    

相手と言葉を交わしたり、相手の様子をうかがったりして、

相手に応じて伝わる言葉や例を用いて話すようにしよう。

     

3つ目は、言いたいことがわかっていないこと。

自分が何を言いたいのか、どのようにしたら伝わるのかを整理できていない。

伝えたい内容を紙に書き出すなどして、考えをまとめあげよう。

    

残念な説明をしてしまう人は、あまり深く考えず、

「なんとなく説明したつもりになっている」

という共通点がある。

    

そんな人に取り組んでほしいのが、上で示した「3つの残念な説明」をひっくり返すことだ。

つまり、

(1)何をどの順番で説明するのか意識する、

(2)説明する相手の理解レベルを意識する、

(3)何を言いたいのか決めてから話す

     

の3つを心がけるのが効果的だ。

 

相手の思考を想像する

説明とは「コミュニケーション」である。

     

説明というと、一方通行のものをイメージするかもしれないが、

説明が上手な人ほど、

相手とうまくコミュニケーションを取りながら進めている。

       

何も言葉を交わしたり、質問のやりとりをしたりすることだけでない。

      

「この表現だとわかってもらえないかもしれない」

「別の例を使ったほうがいいかもしれない」など、

相手を観察し、

相手の思考を想像してそれに柔軟に対応しつつ話すことが重要だ。

        

柔軟な対応は必要だが、

伝えるべき内容からブレないように気をつけよう。

        

あくまで説明の目的は、

相手に情報を伝え、理解してもらうことだ。

  

     

残念とは言わせない説明

説明の順番には、基本のパターンがある。

これを押さえておけば何も難しいことはない。

      

説明の順番を解説する前に、知っておくべきポイントがある。

それは、説明には2種類あるということだ。

「自分主導の説明」と「相手主導の説明」である。

     

自分主導の説明

とは、自分の主張や結論を伝えることを目的として行う、

能動的な説明のことだ。

自分から相手に説明する場合や、

    

仕事の上での商品説明やプレゼンテーションも「自分主導の説明」に該当する。

     

相手主導の説明

とは、相手から説明を求められた場合に行う、受動的な説明のことだ。

「この商品が売れなかった原因はなんだ?」

「夕焼けはどうして赤いのですか?」などの質問がこれにあたる。

つまり、「問いに答える説明」だ。

      

ここから、「自分主導の説明」における基本の順番を説明する。

     

基本の順番は5つの段階に分けられる。

      

(1)前提をそろえる、

(2)結論・主張・本質、

(3)根拠・理由・事実、

(4)補足情報、

(5)結論・相手に促したいアクション

        

1 前提をそろえる

   

まず「前提をそろえる」だ。

     

よく「結論から話せ」と言われるが、それよりも先に前提をそろえよう。

     

前提とは、これから話す内容について、

相手がどの程度の知識を持っているかということだ。

      

相手の知らないことを話すときや、

過去に話したことはあるけれどその内容を覚えていなさそうな場合には、

前提情報を共有しよう。

    

たとえば、新任の上司に対して自分の顧客の話をするとき、

過去の経緯や取引履歴を簡単に説明し、

相手と自分の知識レベルをそろえる必要があるだろう。

       

さらには、

相手の理解度に合わせて説明のレベルを調節することも重要だ。

       

ほかの業界の人や、

はじめて打ち合わせに参加する人に向けて説明するときには、

言葉の難易度や専門性をそろえて話すようにする。

     

具体的には、小・中学生に説明するくらいのつもりで話すのがおすすめだ。

「相手がわかっていない」という前提にたって言葉を選び、

何をどの順番で伝えるかを考えよう。

     

加えて、

「話の範囲」をそろえることも意識したい。

目的は、限られた時間の中で、最適な情報量で伝えることだ。

「あなたが知りたい内容のうち、

今日はこの部分だけをお話しします」とあらかじめ伝えれば、

相手の期待値を調整できる。

打ち合わせの時間が短すぎる場合や取り扱う情報量が多すぎるとき、

喫緊の課題のみに集中したいときなどに有効である。

        

2 結論・主張・本質

次は、「結論・主張・本質」だ。

      

結論とは、あなたが伝えたいこと、

説明したいことをまず一言で伝えることを指す。

     

相手が大まかに全体像を把握しているときなど、

話の前提がそろっている場合には、ここからスタートしよう。

    

たとえば「X社への提案は、失敗に終わりました」という結論があったとする。

これは、X社に対してどういう提案をしていたか、

という経緯を理解している人にのみ有効だ。

       

前提がそろっていないなら、きちんと共有してから結論を述べよう。

聞き手になんらかのアクションを求める場合には、

先に「期待する行動」を主張しておくとスムーズだ。

「この提案をこの場で承認していただきたい」

「改善すべき点をアドバイスしてほしい」

などの要望は、あらかじめ伝えておこう。

     

そうすれば相手は、どういう意識で話を聞けばよいのかわかる。

これを省略すると、

すべて話し終わったあとに「もう一回、説明して」などと、

言われることになりかねない。

     

本質とは「その事象をうまく表した一言」のことだ。

あなたの考える「解釈」とも言える。

「要するに~」「つまり~」などといったふうに、一言に要約できる。

自分が飲んでいるサプリについて説明するなら、

「このサプリは、肝機能を改善する」などと要約するかもしれない。

自分の考えを伝え、それを説明していく流れを作るわけだ。

       

3 根拠・理由・事実

前提をそろえ、結論や主張を伝えたら「根拠・理由・事実」を伝える。

      

根拠や理由を伝えるときのポイントは、

(1)これから理由を伝えることを示す、

(2)理由をできれば3つに絞る、

(3)理由や根拠は客観的事実で構築する

の3つだ。 自分の

       

主張や結論がある場合、

まず「これから理由を伝えますよ」ということを伝えよう。

「今回の企画開発についてお話しさせていただきます。

この企画を実行することで、今季の売上げ目標を達成できます。

その理由は3つあります。それは──」という流れだ。

結論・主張を伝えたあと、それを支える根拠を3つにまとめよう。

      

結論や主張がない説明の場合、

前項で紹介した「本質」を伝えることになる。

商品の機能説明や新商品の開発計画の説明といったケースが、

これにあたるだろう。

      

自分の解釈を伝えるにあたっては、

客観的事実で述べることを意識したい。

主観に基づいた説明だけでは、

相手からは「うーん、そうかなあ?」といった、

反応が返ってくることになるだろう。

数字やデータを活用し、

客観的事実に基づいたロジカルな説明になるように心がけよう。

       

4 補足情報

次に、補足情報を伝える。

    

これは、

経緯や根拠にいたった背景、

伝えなくても大きな問題がない話題だ。

    

「根拠の根拠」や「根拠を補足する背景」ともいえよう。

誰かを説得したりプレゼンを通したりするときには必要な情報だが、

日常会話では省いたほうがいいかもしれない。

       

5 結論、相手に促したいアクション

最後に、結論・相手に促したいアクションを伝える。

      

冒頭ですでに結論や主張を伝えているので、不要だと考えるかもしれない。

      

しかし、結論以降の根拠や補足情報の説明が長くなればなるほど、

聞いている側は話の出口を見失いがちだ。

     

「結局、どういうことだったの?」

「言いたいことってなんだっけ?」と思わせないよう、

最後にもう一度、結論や主張を伝えるようにする。

    

また、購入の決断や決裁判断など、

相手に求めるアクションがある場合も、最後に改めて伝える。

       

       

     

相手主導の説明のポイント

ここまで、自分主導の説明について解説してきた。

では、相手主導の場合はどうか。

     

相手主導の説明の場合、

急な質問に対してとっさに答えなければならず、

順番の構築などが難しいことも多い。

   

だが、次の3つのポイントを押さえておけば問題ないだろう。

      

1つ目が、

大きいポイント(幹)から小さいポイント(枝葉)の順番で、

説明すること。

     

たとえば、会社全体の営業成績を説明してから個別の部署の成績を伝えると、

話の全体構造がわかりやすい。

    

2つ目が、

相手が知りたいのはあなたの解釈か事実かを見極め、

相手が聞きたいほうから話すこと。

     

ここでも、「相手が求めているものは何か?」を考える必要がある。

あなたの意見が求められているのであれば、意見から伝えよう。

その次に、その意見を支える理由を述べる。

    

3つ目が、

事実を話す際には、客観的なものを選択すること。

    

上司に「今期の売上げは達成できそうか」という質問をされたなら、

「私はこう思います」と意見を述べたあと、客観的な事実を加えるのがよい。

     

     

以上のことに気をつけて、説明上手になりましょう。

     

     

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