民事訴訟において、裁判所に訴えを提起した以上、当事者の意思で訴訟を終了する場合を除いては、判決をしない限り、訴訟は終わらない。
なので、裁判官は、訴訟手続の最初の段階から判決になることを見据えながら、訴訟審理を進めている。
ただ、その一方で、和解のタイミングも探っているものである。
この判決と和解の関係について、裁判官の間で使われる言葉として、「判決を書いたら、和解で終わる」という言葉があるらしい。
普通、判決を書いたら、判決を出して終わりではないのか?
和解のタイミングはいろいろな段階であるが、
中でも、尋問後の和解は、当事者の全ての主張立証が終わった段階で和解であり、この言葉が意味を持ってくる。
すなわち、尋問後の和解に際し、すでに裁判官が判決を書いているか、骨子が決まっている場合、裁判官は、判決の素案を通じて、結論のみならず、双方の主張立証の弱いところを把握している。
そうすると、裁判官は、双方の弱点を捉えて、判決という裏付けを踏まえ説得力持って、双方が理由をもって譲歩できるような解決案を提案できることになる。
これにより、和解として終わることが各段に多くなる。
言葉のとおり、「判決を書いたら、和解で終わる」ことになるらしい。
判決はお蔵入りになるが、結果として良い和解になったのなら、それはそれだろう。