死んでもなお、嫉妬の塊! 落語要約 悋気の火の玉

  

   

悋気(りんき)とは、焼き餅のことです。ジェラシー

昔は、大店の旦那は大抵、お妾さんを持っていたみたいですね。

    

   

悋気(りんき)の火の玉

    

ある街の大企業の取締役さんA男さん、

羽振りがいいことに託けて、浮気相手をたくさん囲っていた。

  

とくに、お気に入りの浮気相手B子さん

気立てもよく、よく気のつくできた人

  

これを知った奥さんのC子さん

人一倍、焼き餅焼きで、  

   

A男さんが帰ってくるたびに、

愛想のない返事ばかり、

   

会話と言っても、

    

A男「ああ、今日も疲れたぁ」

C子「B子さんのお相手で大変お疲れのようで」

  

A男「コーヒーをいれてくれないか?」

C子「私がいれたのより、B子さんがいれた方が美味しいでしょうね。」

   

A男「そろそろ、ご飯にしてくれないか?」

C子「私に頼むんじゃなくて、B子さんに頼めば?」

  

と、皮肉ばかり

  

そうこうしているうちに、A男に当たり散らすだけでは、

おさまらなくなったC子

    

呪いのサイトから藁人形で呪い殺す方法を調べ、

      

B子を模した藁人形に

五寸釘を打ちつけはじめた。

  

これに驚いたA男

   

すぐに家を飛び出し、B子の家へ

そして、C

B子にことの顛末を話した。

  

B子は、とくに驚いた様子もなく、

「ならば、私も」と、

      

C子を模した藁人形に、

さらに効くようにと、

六寸釘を打ちつけはじめた。

     

気立ての良いB子が、まさかこんな行動に出るなんて、

と、A男は、言葉にならず、見守るばかり。

    

そうこうしていると、

本当に2人とも

死んでしまったから、

さあ大変!

     

しかし、女たちの執念は死んでもなおおさまらず、

A男の自宅の近くの公園で、

夜な夜な人魂となってケンカしている、との噂が、

A男の耳に入ってきた。

  

噂にたまりかねたA男は、何とか2人を説得しようと、

噂の公園に出向いた。

  

A男が公園に行くと、

まず、近づいてきたのは、B子の人魂

飛び方も生きてた頃の気立ての良さが出ているようであった。

   

A男は、「久しぶりだね。よくきてくれたね。」

と語りかけた。

B子の人魂も嬉しそうである。

ふと、A男がタバコを吸おうとタバコをくわえたが、

火がない。

  

そこへ、そっと、B子の人魂が近づき、タバコに火をつけた。

  

「相変わらず、気が利くなぁ」とA男

  

そして、B子の人魂に、

「お前と違って、C子は、世間知らず。ここは一先ず、B子が

折れて、丸くおさめてくれないか。」と頼んだ。

  

B子の人魂も納得したようだ。

  

次に、A男は、C子の人魂を探しはじめた。

  

そうすると、公園の端の方から

すごい勢いてとんでくる人魂を発見した。

こちらは、執念の塊そのものだ。  

  

A男は驚きながらも、近づき、

暴れ回る人魂をかわしながら、説得を始めた。

  

「色々と腹の立つこともあるだろうけど、

B子も自分が悪かったと言っている。

だから、お前も…」

  

と、言いかけたところで、タバコの灰が落ちて、

タバコの火が消えてしまった。

  

A男が新しいタバコを取り出し、タバコをくわえたところ、

ライターを持っていないことに気づき、

C子の人魂に、

「ちょっと、近くに寄ってきてくれないか。」と頼んだ、

  

すると、C子の人魂は、パッとA男から離れ、

  

「ふん、私のじゃあ、美味しくないでしょ、ふん」

最新情報をチェックしよう!