地方自治の本旨
憲法第92条では、「地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基づいて、法律でこれを定める」としている。
これは一般的に、住民自治と団体自治によって構成されている。
住民自治とは、地域の住民が地域的な行政需要を自己の意思に基づき、自己の責任において充足すること。
団体自治とは、国から独立した団体を設け、この団体が自己の事務を自己の機関により自己の責任において処理すること。
この点、自己の責任において、というのであれば、自主法である条例で定めるのが本来ではないだろうか。
なぜ、憲法によって、国が制定する法律の定めるところとなっているのだろうか。
地方公共団体の役割と国の配慮
地方自治法第1条の2において、
地方公共団体の役割は、住民の福祉の増進を図ることを基本として、地域における行政を自主的かつ総合的に実施する役割を広く担うとされている。
国の配慮としては、
1 国際社会における国家としての存立に関わる事務
2 全国的に統一して定めることが望ましい国民の諸活動、地方自治に関する基本的な準則に関する事務
3 全国的な規模、全国的な視点に立って行わなければならない施策、事業の実施など国が本来果たすべき役割を重点的に担う
こととされている。
基本的なルールは国が決める。
国の配慮からわかるように、
国として最小限確保されなければならない地方自治の水準が想定されるとともに、
地方は国の一部である以上、全国的な視点も欠かせない。
なので、自己の責任でとしながら、地方は国の一部である以上、基本的なルールは、国が法律により決める。
国が定める法律には、一定の統一的な指針を示す機能がある。
そういった意味で、「地方公共団体の組織及び運営に関する事項」は、
地方自治の本旨に基づいて、国が法律で定めることになる。